粗匇そそう)” の例文
が、別に殿中では、何も粗匇そそうをしなかったらしい。宇左衛門は、始めて、愁眉しゅうびを開く事が出来るような心もちがした。
忠義 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
庄造に云はせると、此の猫は決して粗匇そそうをしない、用をする時は必ずフンシへ這入ると云ふ。
猫と庄造と二人のをんな (新字旧仮名) / 谷崎潤一郎(著)
晩食後の片づけに小皿一つ粗匇そそうをしまいと血眼ちまなこになっている時、奥では一家の人たちが何んの苦労もなく寄り合って、ばか騒ぎと思われるほどに笑い興じているのを聞かなければならぬねたましさ。
星座 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
もっともそれが嬉しかったのは、犬が粗匇そそうをするたびに、掃除そうじをしなければならなかった私ばかりじゃありません。
奇怪な再会 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
庄造に云はせると、此の猫は決して粗匇そそうをしない、用をする時は必ずフンシへ這入ると云ふ。
猫と庄造と二人のをんな (新字旧仮名) / 谷崎潤一郎(著)
庄造に云わせると、この猫は決して粗匇そそうをしない、用をする時は必ずフンシへ這入ると云う。
猫と庄造と二人のおんな (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
誰かゞ粗匇そそうをしたのであろうと、取り敢えず金細工の者に仰せつけられ、黄金の打物うちものを以て代りの蓋をお作りになりましたが、後年関白殿が滅亡のとき、聚楽のお城を缺所になされましたら
聞書抄:第二盲目物語 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)