節孔ふしあな)” の例文
お前は目があっても節孔ふしあな同然だよ。半平の奴、ふてえ野郎じゃないか。明日東京へ戻って指令を待て、なんて、尤もらしいことオレに言ってやがるよ。
現代忍術伝 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
粗朶そだがぶしぶしとぶるその向座むこうざには、妻が襤褸ぼろにつつまれて、髪をぼうぼうと乱したまま、愚かな眼と口とを節孔ふしあなのように開け放してぼんやり坐っていた。
カインの末裔 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
しをはりて七兵衛に物などくはせ、さて日もくれければ仏壇ぶつだんの下の戸棚とだなにかくれをらせ、のぞくべき節孔ふしあなもあり、さてほとけのともし火も家のもわざとかすかになし