笹竜胆ささりんどう)” の例文
旧字:笹龍膽
「あ、……笹竜胆ささりんどうのご定紋じょうもんがついて……ご隠居さま、もしや、もしや若さまのお召しものの切れはしではございませんでしょうかしら?」
亡霊怪猫屋敷 (新字新仮名) / 橘外男(著)
墓は小さい堂のなかにまつられて、堂の軒には笹竜胆ささりんどうの紋を染めた紫の古びた幕が張り渡されていて、その紫のめかかった色がいかにも品の好い、しかも寂しい
春の修善寺 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
笹屋の名は公爵岩倉具張いわくらともはり氏と共棲ともずみのころ、有楽橋ゆうらくばしの角に開いた三階づくりのカフェーの屋号で、公爵の定紋じょうもん笹竜胆ささりんどうからとった名だといわれている。桃吉はお鯉の照近江に居たのである。
明治美人伝 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
更に左に折れて小高い丘にのぼると、高さ五尺にあまる楕円形の大石に征夷大将軍左金吾さきんご頼家尊霊と刻み、すすびた堂の軒には笹竜胆ささりんどうの紋を打った古い幕が張ってある。
秋の修善寺 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)