笑止千万しょうしせんばん)” の例文
旧字:笑止千萬
あなたがたから見て笑止千万しょうしせんばんな事もその時の私には実際大困難だったのです。私は旅先でもうちにいた時と同じように卑怯ひきょうでした。
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
世人せじんはタチバナの名にあこがれて勝手にこれを歴史上のタチバナと結びつけ、とうとんでいることがあれど、これはまことに笑止千万しょうしせんばん僻事ひがごとである。
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
「そのお傅役もりやくが、さらわれたのも知らずにいるとは笑止千万しょうしせんばんじゃないか。御曹子おんぞうしはまえから拙者せっしゃがさがしていたおん方だ、もうきさまに用はない」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
笑止千万しょうしせんばんなのは、カンカン寅だ。あの古い建物を壮平爺さんの手から買いとったとよろこんでいるだろうが、九万円の液体黄金えきたいおうごんの無くなったことは夢にも知らないのだ。
疑問の金塊 (新字新仮名) / 海野十三(著)
そうおっしゃって下さいといったまま、逃げるように行ってしまった恰好かっこうが、笑止千万しょうしせんばんであった
大菩薩峠:21 無明の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「あの道誉が、いまさら前非を悔いたなどとは、笑止千万しょうしせんばん。なんで真顔に耳がせましょうか」
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
こちらの番所で見ている者は、ここに至ると笑止千万しょうしせんばんに堪えられないでしょう。
大菩薩峠:31 勿来の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
いよいよ、笑止千万しょうしせんばんに感ずる兵馬。
大菩薩峠:29 年魚市の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)