立葵たちあおい)” の例文
紫の立葵たちあおいのこと及びその色ちがいのもので赤や白のものがあることや、日本全国到る処に棲息せいそくするサワ蟹のこと
三人の双生児 (新字新仮名) / 海野十三(著)
陣笠じんがさ立葵たちあおいの紋の付いたぶっき羽織でも着なくっちゃ納まりの付かない紐だ。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
生垣へだてたる立葵たちあおいの二株、おたがい、高い、高い、ときそって伸びて、伸びて、ひょろひょろ、いじけた花の二、三輪、あかき色の華美を誇りし昔わすれ顔、黒くしなびた花弁のしわもかなしく
二十世紀旗手 (新字新仮名) / 太宰治(著)
ふるひる小さき蜘蛛くも立葵たちあおい
五百句 (新字旧仮名) / 高浜虚子(著)
悪事が、このように無邪気に行われるものだとは、笠井さんも思ってなかった。笠井さんは、可愛らしいと思った。田舎くさい素朴な、直接に田畑のにおいが感じられて、白い立葵たちあおいを見たと思った。
八十八夜 (新字新仮名) / 太宰治(著)