窓外そと)” の例文
『え、未だ。』と女は窓外そとを覗いたが、『マア野村さんですか。姐さん達は十一時でなくちや帰りませんの。』
病院の窓 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
私の頭は取りとめのない事でうずを巻いていた。夜はいつの間にか明けて、すがすがしい朝の空気がもやに閉ざされた窓外そとから飛込んで来た。乗客はざわめき出した。
急行十三時間 (新字新仮名) / 甲賀三郎(著)
『え、未だ。』と女は窓外そとを覗いたが『マア野村さんですか。姐さん達は十二時でなくちや歸りませんの。』
病院の窓 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
窓外そとでは恰度この時春光を浴びながら、透き通るようなうすものゝショールを長々と飜えして、令嬢風の女連が、厳めしい煉瓦造りの建物を黙殺し乍ら歩いていた。
支倉事件 (新字新仮名) / 甲賀三郎(著)
程なく列車がぐわうと音を立てて松川の鉄橋にさしかかると、窓外そとを眺めて黙つてゐた吉野は
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
入れとも云はず窓外そとを覗いてるので、渠は構はず入つて見ようとも思つたが、何分にも先程から氣が悠然ゆつたりと寛大になつてるので、遂ぞ起した事のない「可哀さうだ。」といふ氣がした。
病院の窓 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
入れとも云はず窓外そとを覗いてるので、渠は構はず入つて見ようとも思つたが、何分にも先刻程さきほどから気が悠然ゆつたりと寛大になつてるので、遂ぞ起した事のない「可哀さうだ。」といふ気がした。
病院の窓 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)