空洞うろ)” の例文
年を経た松やひのきや杉、梧桐や柏の喬木が、萩や満天星どうだんはぜなどの、灌木類とうちまじり、苔むした岩や空洞うろとなった腐木くちきが、それの間に点綴てんてつされ、そういうおそろしい光景を
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
彼の家に移って後も、梅雨つゆまえになると蛇が来て空洞うろあなから頭を出したり、みきからんだり、枝の上にトグロをまいて日なたぼこりしたりする。三疋も四疋も出て居ることがある。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
しづかなる空の中処なかど空洞うろありてきたる待つとふけだしその空洞うろ
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
代々木の山の中に、最早くさりかけて、両眼はからすにつゝかれ、空洞うろになって居たそうだ。原因は分らぬが、彦さんの実父は養子で、彦さんの母に追出され、今のおやじ後夫あといりと云う事であった。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
だがはたして杉の大木に、そんな空洞うろがあるのだろうか?
任侠二刀流 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
中は悉皆すっかり空洞うろになって、枝の或ものは連理れんりになって居る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)