空堀からぼり)” の例文
空堀からぼりに埋めてある千両箱一つでも持って来てくれる忠臣一人くらいがあるだろうかと思うておりましたのや。
空中征服 (新字新仮名) / 賀川豊彦(著)
掘りかけている空堀からぼりの橋のたもとに、ふとみると、一軒のほったて小屋がある。四方は蓆張むしろばりで、たけを抑えに打ち、入口にのれんを掛けて、そこから一本の小旗が出ている。
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、そばにあった緑の風呂敷を頭からかぶって、ナポレオンの鼻の先へぬウと出ると、とたんに躍りあがったナポレオンはコン吉の襟首へ角を引っかけはるか向うの空堀からぼりの中へ投げ出した。
後側うしろがわへ回ると広い空堀からぼりの中に立派な二階建の兵舎がある。もとは橋をかけて渡ったものと思われるが、今では下りる事もできない。兵舎の背はもとより、山に囲われて、外からは見えなくなっている。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
その茶寮の縁先からは、遠からぬ所の御行おぎょうの松が、夜の空を摩してのぞまれますし、広い庭は、雪見燈籠ゆきみどうろう空堀からぼり那智なち石も、落葉にまって冬ざれの霜の荒れにまかせてあります。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)