石見銀山いわみぎんざん)” の例文
こう屋敷中で見張っているところへ、新太郎の膳のお菜の中へ、石見銀山いわみぎんざん鼠捕ねずみとりを入れたものがありました。
浜田の娘おえいは猫らずといふ殺鼠剤さっそざいを服して最後を遂げたりしより無分別の若き男女思案に余ることあれば今にこの薬をあがなふもの絶えやらずといふ。猫入らずは即むかしの石見銀山いわみぎんざんなり。
桑中喜語 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
残るは妾ただ一匹、年頃契り深からず、石見銀山いわみぎんざん桝落ますおとし、地獄落しも何のその。縦令たとひ石油の火の中も、たらいの水の底までも、死なば共にとちこふたる、恋し雄に先立たれ、何がこの世の快楽たのしみぞ。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
石見銀山いわみぎんざんかな。——お嬢さんの味噌汁にだけ入っていたところをみると、企んだ仕事だよ、親分」
ゆうべも別のたるで一升持って行って、観世縒かんぜよりで首を結えた徳利で、別にかんをさせて飲んでいたが、その徳利をり替えて、石見銀山いわみぎんざんの入ったのを呑ませた奴があるんです
「あの婆やは石見銀山いわみぎんざんで毒害されたんだよ。婆やが寝酒を呑むことを知っている人間の仕業だ」
狙われるのが、こんなにイヤなものとは、思ってもみませんでした。二階から突き転がされたり、知らない人から喧嘩けんかを吹っかけられたり、食物へ石見銀山いわみぎんざんが入っていたり、——
「家の中に、お嬢様の命を狙う者があるのでございます。一度はお嬢様の御飯の中に、石見銀山いわみぎんざん鼠取ねずみとりが入っていたのを、重三さんが見付けて大騒ぎをしたことがございます」
物事はそう都合よくは行かない、お染と米吉は相談をして、主人の永左衛門が飲む筈の、三本目の薬酒の入った徳利に、石見銀山いわみぎんざん鼠捕りを投り込んだのだ。永左衛門はそれを飲んで死んだ。
石見銀山いわみぎんざんといったような毒が入っていたに違いない、——せがれの幾松の気が変になったのは、お由良のせいだから、昨夜ヌケヌケと縁切り話に来たお由良に、毒を盛る気になったのも無理はないよ
そっと後からいて行ってみると、石見銀山いわみぎんざん鼠取ねずみとり薬だったそうです、——どこでいつ使うか解らないから用心するがいい、狙われているのは鼠じゃなかろう——お町さんはそういってくれました
石見銀山いわみぎんざん鼠捕り、つまり砒石ひせきじゃ、二人の症状はまるで違う
あるものは石見銀山いわみぎんざん匕首あいくちと、そして細引だけである。