真空しんくう)” の例文
旧字:眞空
(ははあ、ここは空気の稀薄きはくほとんど真空しんくうひとしいのだ。だからあの繊細せんさいな衣のひだをちらっとみだす風もない。)
インドラの網 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
宛も真空しんくうの中に於けるがように、何物にも遮らるることのないその光が、如何にくっきりとした日向と影とを、地面の上に投げてるかを見る時、人は殊に深く秋を感ぜさせられる。
秋の気魄 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
雲母マイカか何かで、十六武蔵じゅうろくむさしぐらいの大きさの薄い円盤を作って、水晶すいしょうの糸で釣るして、真空しんくうのうちに置いて、この円盤のめん弧光燈アークとうの光を直角にあてると、この円盤が光にされて動く。
三四郎 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
そんなら何がその川の水にあたるかといますと、それは真空しんくうという光をあるはやさでつたえるもので、太陽たいよう地球ちきゅうもやっぱりそのなかにかんでいるのです。
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)