眞桑瓜まくはうり)” の例文
新字:真桑瓜
「佛壇の前に饅頭まんぢゆうだの眞桑瓜まくはうりだの、やたらに積んで、線香の燃えさしがザクザクあつたところを見ると、まんざら忘れたわけぢやないでせう」
やがてさら/\とわた山風やまかぜや、つきかげうりをどる。踊子をどりこ何々なに/\ぞ。南瓜たうなす冬瓜とうがん青瓢あをふくべ白瓜しろうり淺瓜あさうり眞桑瓜まくはうり
月令十二態 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
余等も渡つて、少し歩いて見る。多いものはブヨばかり。倒れ木に腰かけて、路をさし覆ふ七つ葉の蔭で、眞桑瓜まくはうりを剥いた。甘味の少ないは、爭はれぬ北である。
熊の足跡 (旧字旧仮名) / 徳冨蘆花(著)
西瓜すいくわを食ふな眞桑瓜まくはうりを食ふな、あるひは章魚たこが惡い生水なまみづが危險だとかいふやうな訓示が懸廳から村役場や警察の手を經て村々へ傳へられるのを、漁夫どもはいはれのない囈言たはごととして聞き流してゐた。
避病院 (旧字旧仮名) / 正宗白鳥(著)