相乗あいのり)” の例文
旧字:相乘
私が再びうなずきながら、この築地つきじ居留地の図は、独り銅版画として興味があるばかりでなく、牡丹ぼたん唐獅子からじしの絵を描いた相乗あいのり人力車じんりきしゃ
開化の良人 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
(がぶりと呑んでてのひらをチュウと吸う)別して今日は御命日だ——弘法こうぼう様がすみやかに金ぴかものの自動車へ、相乗あいのりにお引取り下されますてね。
山吹 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
相乗あいのりじいさんが、「いいや、そうでもごわんせん。彼奴あいつらもやっぱりさびしくなると見えまして、時々家へ戻って行きますが、しかりつけられてまた山へ行きますわい」
由布院行 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
王女は、約束の馬はここにいる、水車ごやも、そのままおじさんのものにしておくがよい、と言いすてて、じぶんは、かげ日向ひなたなく働いてくれたハンスを馬車に乗せ、相乗あいのりで行ってしまいました。
……実は相乗あいのりして席を並べた、修善寺の旅館の主人の談話を、ふと遮った調子がはずんで高かったためである。
半島一奇抄 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)