盲人めしい)” の例文
かれ路頭ろとう乞食こつじきごとく、腰をかがめ、頭を下げて、あわれみを乞えり。されどもなお応ずる者はあらざりしなり。盲人めしいはいよいよ途方とほうに暮れて
取舵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
このあわれむべき盲人めしいは肩身狭げに下等室に這込はいこみて、厄介やっかいならざらんように片隅にうずくまりつ。人ありてそのよわいを問いしに、かれ皺嗄しわがれたる声して、七十八歳と答えき。
取舵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
むごくもたもとを振払いて、再び自家おのれの苦悩にもだえつ。盲人めしいはこの一喝いっかつひしがれて、くびすくめ、肩をすぼめて
取舵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)