目論もくろん)” の例文
今日までに入用であるといえば、明智は今にも、この人形を使って、一仕事する積りに相違ないが、一体全体この男何を目論もくろんでいるのだろう。
吸血鬼 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
アイリスの功利的ずるさが、差し当り二人に決闘の真似事をさせて、自分を彼等から解放させようと目論もくろんだ。
決闘場 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
東京市の貧弱なる膨脹にんで、最低度の資本家が、なけなしの元手もとでを二割乃至三割の高利こうりまはさうと目論もくろんで、あたぢけなくこしらげた、生存競争の記念かたみである。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
千登世が縫物のことで近付きになつた向う隣りの醫者の未亡人が彼等の窮状を聞き知つて買ひ取つたばかりのその家の目論もくろんでゐた改築を沙汰止みにして提供したのだつた。
崖の下 (旧字旧仮名) / 嘉村礒多(著)
いよいよ猿を彫ろうと目論もくろんでいる処へ、八月の末に娘が加減が悪くなり、看護に心を尽くした甲斐もなく、九月九日に亡くなってしまいましたので、私の悲しみは前にも申したような次第で
が、それを言い出した稲富喜三郎は、一体何を目論もくろんでいることでしょう。
江戸の火術 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
「大きなものを目論もくろんでいるんだよ」
村の成功者 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
東京市の貧弱なる膨脹に付け込んで、最低度の資本家が、なけなしの元手を二割及至ないし三割の高利に廻そうと目論もくろんで、あたじけなくこしらえ上げた、生存競争の記念かたみであった。
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)