目覚めざまし)” の例文
旧字:目覺
さしも目覚めざましかりける手腕てなみの程も見る見るやうや四途乱しどろになりて、彼は敢無あへなくもこの時よりお俊の為に頼みがたなき味方となれり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
つのぶちの目金めがねで、じっと——別に見るものはなし、人通ひとどおりもほとんどないのですから、すぐ分った、鉢前のおおきく茂った南天燭なんてんの花を——(実はさぞ目覚めざましかろう)——悠然として見ていた。
河伯令嬢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
母子おやこの前にあらはれたる若き紳士は、そのたれなるやを説かずもあらなん。目覚めざましおほいなる金剛石ダイアモンドの指環を輝かせるよ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
驚き見れば長高たけたかき老紳士の目尻もあやしく、満枝の色香いろかに惑ひて、これは失敬、意外の麁相そそうをせるなりけり。彼は猶懲なほこりずまにこの目覚めざまし美形びけいの同伴をさへしばら目送もくそうせり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)