発見めつけ)” の例文
旧字:發見
すると辻々に立つてゐる監督がそれを発見めつけるが早いか監督詰所に駆け込むで、その電車が通つて途々みち/\の箱番へ直ぐ電話をかける。
今は故人の松下軍治がしたゝか者だつた事は知らぬ者もないが、たとへば、金でも借りようとかつるでも発見めつけようとかいふ目論見もくろみで人を訪ねる事があるとする。
そして相手の顳顬こめかみ白髪しらがでも発見めつけると、にこにこもので愛嬌口をきくが、さもないと、急に厭な顔をする。
それから女のこつを飲むなどは以ての外で、七周忌目に箪笥たんす抽斗ひきだしから、亭主をこきおろした日記を発見めつけたからといつて、一度くだした後ではうとも仕兼しかねるではないか。
帽子の山からは釘が二三本頭を覗けてゐた。その男は釘仕掛を発見めつけられると慌てて帽子を脱いで小脇に抱へ込んだ。そしてセルロイド製のやうな禿頭をふりふり群衆ひとごみに紛れ込んだ。
皆は熱病をわづらつた様な眼つきをして、稽古場を捜し廻つた。すると、年の若い道具方の一人が、小道具のなかでくだんの真珠を発見めつけた。女優はにこ/\ものでそれを受取つて身につけた。
発見めつけられる心配なんかありやしないよ。
茶話:12 初出未詳 (新字旧仮名) / 薄田泣菫(著)