発落なりゆき)” の例文
旧字:發落
その話の発落なりゆきうして歩いてゐ乍らも心に懸らぬではない。否、それが心に懸ればこそ、静子は種々いろいろの思ひを胸に畳んだ。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
リツプは元から政治家ではないから、国の発落なりゆきには余り感じませなんだが、かれも曾て一種の圧制の下に立つて、大息ためいきばかりいて居た事がありました。それは女房の圧制です。
新浦島 (新字旧仮名) / ワシントン・アーヴィング(著)
同時に写された書中其発落なりゆきを詳にすべきものは、狩谷氏の本が市にひさがれ、渋江氏の本が海底に沈んだと云ふのみである。小島氏、森氏の本はどうなつたか、一も聞く所が無い。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
先刻さつき町から帰つてから、待てども/\兄が帰らぬ。母も叔母も何とも言つてくれぬだけ媒介者なかうどとの話の発落なりゆきが気にかかつた。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)