疱瘡もがさ)” の例文
此時一度、すべて、石城はとり毀たれたのである。ところが、其と時を同じくして、疱瘡もがさがはやり出した。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
疱瘡もがさやみ、鼻がつまれば、枳椇けんぽなし、實を採り來、ひだりの、孔にさし、みぎりの、孔にさし、忽ちに、息は通へど、炭竈の、烟噴き孔、土崩えて、塞がりてありしを、知らずと燒きし、かゝり炭
長塚節歌集:2 中 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
御主人が御捕おとらわれなすったのち御近習ごきんじゅは皆逃げ去った事、京極きょうごく御屋形おやかた鹿ししたにの御山荘も、平家へいけの侍に奪われた事、きたかたは去年の冬、御隠れになってしまった事、若君も重い疱瘡もがさのために
俊寛 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
此時一度、凡石城はとり毀たれたのである。ところが其と時を同じくして、疱瘡もがさがはやり出した。越えて翌年、益盛んになつて南家・北家・京家すべてばた/″\と主人からまづ此時疫じえきに亡くなつた。
死者の書:――初稿版―― (新字旧仮名) / 折口信夫(著)