畳算たたみざん)” の例文
旧字:疊算
雪はその日のくれにやんだが、外記は来なかった。その明くる夜も畳算たたみざんのしるしがなかった。その次の日に中間ちゅうげんの角助が手紙を持って来た。
箕輪心中 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「馬鹿あ言え。畳算たたみざんより目の子算用を先に覚えようという今時の芸妓げいしゃに、若干なにがしか自腹を切らせたなあ、大したもんだ、どれちょっと見せねえ、よ、ちょっと拝ませねえかよ。」
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「いいえ、それはわかりませんが、いまね、この婆が畳算たたみざんうらなってみたところ、あなた、三度やり直しても同じ事、どうしても御男子。私の占いは当りますよ。旦那、おめでとうございます。」
新釈諸国噺 (新字新仮名) / 太宰治(著)
かんざしにて雪のふかさをはかるときは畳算たたみざんと共に、ドドいつ中の材料らしくいやみおほくしてここには適せざるが如し。「はかりし」とここには過去になりをれど「はかる」と現在にいふが普通にあらずや。
墨汁一滴 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)