番手桶ばんておけ)” の例文
米磨桶こめとぎおけもあれば手桶もあり、荷桶もあれば番手桶ばんておけもあり、釣瓶つるべの壊れたのまで、ごろごろしているところを見れば、今日一日の雇いきりに限らず
大菩薩峠:34 白雲の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
表の大地は箒木目ははきめ立ちてちりもなく。格子戸はきれいにふききよめて。おのずから光沢をおびたり。残ったる番手桶ばんておけの水をきたるとおぼしき。くつぬぎのみかげ石の上に。
藪の鶯 (新字新仮名) / 三宅花圃(著)
庭先に番手桶ばんておけ荒筵あらむしろを敷いて、その上の枝ぶりの良い松にり上げたのは、半裸体の美女。
赤井左門から命令があったものか、庭先には高張提灯たかはりぢょうちんをかかげ、番手桶ばんておけを積み荒筵あらむしろを敷き、にわか事ながらすべてお白洲しらすそのままに作って、往来に向いた庭木戸を真一文字に開かせました。