画端書えはがき)” の例文
着物を雨で濡らす心配があるか、ライン河の入日の画端書えはがきに感嘆の声をらす時のほかは、滅多めったに雲の影などへ心をめないのも不思議ではない。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
約束の音信たよりは至る所からあった。勘定かんじょうすると大抵日に一本ぐらいの割になっている。その代り多くは旅先の画端書えはがきに二三行の文句を書き込んだ簡略なものに過ぎなかった。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「北京日記抄」は必しも一日に一回ずつ書いた訣ではない。が、何でも全体を二日ばかりに書いたと覚えている。「雑信一束」は画端書えはがきに書いたのを大抵はそのまま収めることにした。
「支那游記」自序 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
これが画端書えはがきでも御馴染おなじみの、名高い城内の城隍廟じょうこうびょうである。廟の中には参詣人が、入れかわり立ち交り叩頭に来る。勿論線香を献じたり、紙銭を焚いたりするものも、想像以上に大勢ある。
上海游記 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)