町名主まちなぬし)” の例文
また一方には親方の庄蔵から町名主まちなぬしにその事情を訴えて、六三郎の赦免をしきりに嘆願したので、結局六三郎はお構いなしということでゆるされた。
心中浪華の春雨 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
と、大喝一声譴責けんせきを加えた上、町名主まちなぬし五人組へ預けたので、一同その明決に感じ合ったということである。
法窓夜話:02 法窓夜話 (新字新仮名) / 穂積陳重(著)
世間並のお世辞上手な利口者なら町内の交際つきあいぐらいは格別つらくも思わないはずだが、毎年の元旦に町名主まちなぬしの玄関で叩頭おじぎをして御慶ぎょけいべるのを何よりも辛がっていた
登は圧迫を感じながら訊いた、「ここには町名主まちなぬしか五人組はいないのか」
茶の長火鉢ながひばち妙振出みょうふりだしをせんじていた妻何心もなく取次に出て見ると、堀田原ほったわら町名主まちなぬしを案内にして仲間ちゅうげん提灯ちょうちん持たせた中年のさむらい小普請組こぶしんぐみ組頭くみがしらよりの使者と名乗って一封の書状を渡して立去る。
散柳窓夕栄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)