由縁ゆゑ)” の例文
たのみつる君は、此の国にては一一六由縁ゆゑある御方なりしが、人のさかしらにあひてしる所をも失ひ、今は此の野のくまわびしくて住ませ給ふ。
勝四郎つらつら思ふに、かく落魄おちぶれてなす事もなき身の何をたのみとて遠き国にとどまり、六八由縁ゆゑなき人のめぐみをうけて、いつまで生くべき命なるぞ。
此の寺はさる由縁ゆゑありて、かく荒れはて、人も住まぬ野らとなりしかば、一りふ一〇三斎糧ときりやうもなく、一宿ひとよをかすべき一〇四はかりごともなし。はやく里に出でよといふ。禅師いふ。