生霊せいれい)” の例文
旧字:生靈
東風君は真面目で「新体詩は俳句と違ってそう急には出来ません。しかし出来た暁にはもう少し生霊せいれい機微きびに触れた妙音が出ます」
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
一年に三万人の生霊せいれいが、この便利な機械文明にわれてしまっている。日本に於ても浜尾子爵閣下はまおししゃくかっかが「自動車轢殺れきさつ取締とりしまりをもっと峻厳しゅんげんにせよ」
電気看板の神経 (新字新仮名) / 海野十三(著)
見る/\すうとちぢみ、またふっと伸びる。二百万の生霊せいれいいきひく息がほのおになるのかと物凄ものすごい。田圃の行き止まりに小さな流れがある。其処そこに一つあおい光が居る。はっと思うと、ついと流れた。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
「はははは。武人に似合わんことだ。してしまったものは是非もない。戦場に立てば何千何万の生霊せいれいを、一日で葬ることさえあるじゃないか。また、わが身だって、いつそうされるか知れないのだ」
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
貴下も神につかえる身でありながら、まだ生れないにしても、一つの生霊せいれいみずから手を下して暗闇やみから暗闇やみにやってしまうなんて、残酷な方! ああ、人殺し……
振動魔 (新字新仮名) / 海野十三(著)