生活なりわい)” の例文
能く心して生活なりわいの道を治めよ、とねんごろに説き示しければ、弟はこれを口惜くちおしく思ひてそののち生活の道に心を用ひ、ようやく富をいたしけるが
印度の古話 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
雑業俗生ぞくしょう生活なりわいの忙しきうちから申す念仏とて、きっと弥陀みだは受けたもうにぞ。……そうじゃ、親鸞が今、よい物を進ぜよう
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
とはいえ、学識あり、才能あるものが、いつまでか一少女の情にかかずらいて、目的なき生活なりわいをなすべき。いまは天方伯もただ独逸語を利用せんの心のみなり。
舞姫 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
延喜えんぎ天暦てんりゃくのむかしにかえすというご理想も、当時の世でこそ、万民謳歌の美しい統治の実を結んだでしょうが、今日の土壌では民ぐさの生活なりわいがまるでちがいます。
されどこの山はなお重霧の間に在りて、いつ往きつかんも、否、果たして往きつきぬとも、わが中心に満足を与えんも定かならず。貧しきが中にも楽しきはいまの生活なりわいてがたきはエリスが愛。
舞姫 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
箭四郎にもいとまが出たので、宇治の縁家に一人の娘が預けてあるのを頼りに、故郷へ戻って、共に、生活なりわいを励もうと一家をもったのであるが、久しく離れていたまことの父よりは
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)