玩弄品おもちゃ)” の例文
もう三十を幾つも越した年紀としごろから思うと、小児こどもの土産にする玩弄品おもちゃらしい、粗末な手提てさげを——大事そうに持っている。
売色鴨南蛮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そしてさらにまたその次には、ぐるぐる廻る大きな台の上に、玩弄品おもちゃの自動車だの馬車だの馬だの獅子だのを乗せて、騒々しい楽隊の音と一緒に廻らしている。
日本脱出記 (新字新仮名) / 大杉栄(著)
それはそれは。……この雛はちと大金たいまいのものゆえに、進上は申されぬ——お邪魔でなくばその玩弄品おもちゃは。
夫人利生記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ああでなくては不可いけません。私は何も、ゆがんだりねたりして、こう云うのではないんです。お爺さん、色でも恋でもない人に、立てる操は操でないのよ。……一人に買われる玩弄品おもちゃです。
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そのこずえ、この額と相対して、たとえば雪と花の縁を、右へ取り、舞台の正面、その明星と、大碧玉の照る処、京人形と木菟が、玩弄品おもちゃころがったようになって拝んだあとで、床の霞に褄を軽く
白花の朝顔 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
さて、笛吹——は、これも町で買った楊弓ようきゅう仕立の竹に、雀が針がねをつたわって、くちばしの鈴を、チン、カラカラカラカラカラ、チン、カラカラと飛ぶ玩弄品おもちゃを、膝について、鼻の下の伸びた顔でいる。
貝の穴に河童の居る事 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「……玩弄品おもちゃ?」