えもの)” の例文
その夢は早晩いつか醒むべし。トロアスのつはもの黒き蟻の群の如くえものを載せて岸に達せば、その夢いかでか醒めざることを得ん。
「茗水渓頭買小船。」吾妻森あづまのもりで陸に上つて蓑笠を買つた。「吾妻祠畔境尤幽。出艇間行野塢頭。筍笠莎蓑村店買。先生将学釣魚流。」網を打たせ、えものさかなにして飲んだ。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
えものをさらって天へ升って行きゃあがったな。
鷸蚌いつぼう互ひに争ふ時はついに猟師のえものとなる。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
是は文淵堂の花天月地くわてんげつち中よりもとめ来つた婪尾らんびえものである。藤陰の簡牘は語路が錯綜して、往々紛糾解くべからざるに至り、句読を施し難くなつてゐる。又歇後けつごの文が多い。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
幾度かの血腥ちなまぐさい戦争のえものを9315
烟のえものにせられてしまう。