献上博多けんじょうはかた)” の例文
ついの古渡り唐桟とうざんに幅の狭い献上博多けんじょうはかたをきゅっと締めて、乾児の勘弁勘次を促し、傘も斜に間もなく紅葉湯を後にした。
七つ糸の唐桟とうざんついに、献上博多けんじょうはかたの帯をしめた彼を見ては、黒死館における面影など、何処いずくにも見出されないのである。
人魚謎お岩殺し (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
下に着て居る古渡の更紗も面白くなく、柿色かきいろ献上博多けんじょうはかたの帯も面白くなく、後に聞けば生意気を以て新道に鳴る花次の調子のなおさら面白くなく、それにいつもの婢が二階座敷に出て居て
油地獄 (新字新仮名) / 斎藤緑雨(著)
結城ゆうき藍微塵あいみじんの一枚着、唐桟柄とうざんがら袷羽織あわせばおり、茶献上博多けんじょうはかたの帯をぐいとめ、白柔皮しろなめしの緒の雪駄穿せったばきで、髪をすっきりと刈った、気の利いた若いもの、風俗は一目で知れる……俳優やくしゃ部屋の男衆おとこしゅ
南地心中 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「帯は茶の献上博多けんじょうはかたでございましょうね」
大菩薩峠:18 安房の国の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)