狼連おおかみれん)” の例文
「月々かなりのものを仕送って、狼連おおかみれんが帰ると、長火鉢の猫板の上へ、長いあごを載っけておいたっていうじゃありませんか」
ところが、一しょにおちてきた可児才蔵かにさいぞうは、こんな狼連おおかみれんにつきまとわれては大へんと、いちはやく、とちゅうから姿をかくし、一足ひとあしさきに上方かみがたへ立っていったのである。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あかりを一パイにけて、ザワザワと入が集まっておりますが、あんなに喰い付いていた狼連おおかみれんは薄情にも顔を見せず、町内付合いで仕様事なしの老人たちが
山谷さんやのお寿と、馬道のお政は、その中でも有名で、どららも若く、どちらも美しく、芸妓げいしゃ素人しろうとの隔てなく、男弟子も、女弟子も取って、多勢の狼連おおかみれんと、少数の有力な旦那衆パトロンに取巻かれ
町内の狼連おおかみれんも、い男の勝蔵も、少し顔負けがしていると言って来ました。
「お柳は今じゃあんなに肥っているが、踊りの師匠上がりで、今でも塀外に一人や二人昔の狼連おおかみれんがウロついていない日はないという恐ろしい女、——もっとも肥ってはいるが、ちょいと可愛い顔だね、親分の前だが」