物珍ものめず)” の例文
そうしたヘルンの家庭では、自然界のちょっとした出来事や現象やが、いつも物珍ものめずらしく大騒ぎの種になるのであった。
私は五年間に貰いためた労役ろうえきの賃金の入った状袋じょうぶくろをしっかりと握りながら、物珍ものめずらしげに、四辺あたりを見廻したのだった。
柿色の紙風船 (新字新仮名) / 海野十三(著)
東京とうきょうは、お正月しょうがつなんだね、この自動車じどうしゃは、東京とうきょうからきたんだ。」と、勇坊ゆうぼうは、どろのはねが、おびただしくついたトラックを物珍ものめずしそうにながめました。
東京の羽根 (新字新仮名) / 小川未明(著)
しかしながら、それでさえその時代には物珍ものめずらしさに興を催したのであった。今日の連続物などと比較して考えて見たならば、実に隔世の感があるであろう。
活動写真 (新字新仮名) / 淡島寒月(著)
参木は高重の話そのものよりも、今は自分の年齢の若さが、これほども年長者を興奮させ得る材料になりつつあるという現象に、物珍ものめずらしい物理を感じて来た。
上海 (新字新仮名) / 横光利一(著)