やしな)” の例文
厭な歌詞や音楽や風俗化粧などは兎に角に無くて欲しいものであらねばならぬ。郷に入つて其謡を聞けば其郷知る可しである。そこで民をやしなふ者は古から意をかゝる事にも用ゐたのである。
震は亨る (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
しかし、やしなう者なき羊のようなこの群衆の姿! 知恵の指導と平和の慰藉とを欠き、ただ雑然混然として何か光を、力を、求めている。彼らは求むべき物をすら知らずして、求めているのだ。
そこにはもはや弟子の疲労をいたわる思いやりでもなく、また群衆のやしなう者なき羊のごとき状態をあわれむ同情でもなく、むしろ憤りと悲しみとに満ちたきびしさがイエスの態度に感ぜられます。
貴様は元来国を治め民をやしなう器量が有る訳では無いが、故信長公の後なればこそ封地を贈ったのに、我儘わがままに任せてが言を用いぬとは己を知らぬにも程がある、というので那賀なか二万石にしてしまった。
蒲生氏郷 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)