へい)” の例文
おおきな楼房にかいやがあって高いへいを四方にめぐらしていた。小婢はその前に往ってちょっと足を止めて許宣の顔を見た。
蛇性の婬 :雷峰怪蹟 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
褐衣の人はぐるりと路を変えて、へいをめぐらした家の旁を通って案内していった。楼閣の建ち並んでいる処があった。褐衣の人はそこを折れ曲っていった。
蓮花公主 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
大きな楼房にかいやがあって高いへいを四方にめぐらしていた。小婢はその前へ往ってちょっと足を止めて許宣の顔を見た。
雷峯塔物語 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
元豊は馬でそのへいの外を通っていたが、中から笑い声が聞えるので、馬をとどめ、従者にくらをしっかり捉えさしてその上にあがって見た。そこには二人の女郎むすめが戯れていた。
小翠 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
「今晩、遅く皆さんが寝静まった時に、花園の中の、あの石のある処へいらして、そこの樹へなわゆわえて、その端をへいの外へ投げてくださるなら、あの方がすがってあがりますよ」
断橋奇聞 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
それは夏の燃えるような暑い時であった。その村にしゅうという家の庭園があって、へいくずれ家は破れて、ただ一つのあずまやのみが残っていたが、涼しいので村の人達がたくさんそこへ泊りにいった。
王成 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
虫はへいの隅へまでいってそれから解らなくなった。成はそのあたりを歩きまわってたずねた。虫は壁の上にとまっていた。よくみると体の小さな赤黒い色の虫で、それは初めの虫ではなかった。
促織 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)