無私むし)” の例文
昔よりわたくしなしという言葉は公平なる態度を現すに用いられるが、無私むしというは狭い量見りょうけんのない、おのればかりが正しいのでない、またおのれの利益のためでないという意味である。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
天下の羣小ぐんしょうさしまねいで、いたずらにタイモンのいきどおりを招くよりは、らんを九えんき、けいを百けいえて、ひとりそのうち起臥きがする方が遥かに得策である。余は公平と云い無私むしと云う。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)