無性むしやう)” の例文
彼女は無性むしやうになつかしくなつた。情味の籠つたおつかさまのおつしやり方が涙を誘つたのか。もつと大きな人生の暖みと云ふことが心をそゝつたのか。
夜烏 (新字旧仮名) / 平出修(著)
いま、この場に富岡がゐてくれたらどんなにいゝだらうと思つた。富岡の姿が無性むしやうになつかしくてならない。
浮雲 (新字旧仮名) / 林芙美子(著)
彼は其の或る空想の花に憧れて、滅多めつた無性むしやうと其の影を追𢌞してゐた。而も彼の心は淋しい! そして眼に映る物の全てに意味があツて、疑が出て來て、氣が悶々してならぬ。
解剖室 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
平次の鼻の先で、八五郎は無性むしやうにでつかい手を振りました。
ずりちた崖土がけつちに、無性むしやう矢鱈やたらまはつたおいもつる
畑の祭 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
無性むしやう やたらに
雨情民謡百篇 (新字旧仮名) / 野口雨情(著)