烟硝えんしょう)” の例文
私の耳許みみもとからバンと烈しい銃声が起り、更にバン・バン・バンと矢継早に三つの銃声がそれに続いた。鋭い烟硝えんしょうの匂が急に鼻をいた。
虎狩 (新字新仮名) / 中島敦(著)
父は洋服に着換る為め、一先ひとまず屋敷へ這入る。田崎は伝通院前でんずういんまえ生薬屋きぐすりや硫黄いおう烟硝えんしょうを買いに行く。残りのものは一升樽いっしょうだるを茶碗飲みにして、準備の出来るのを待って居る騒ぎ。
(新字新仮名) / 永井荷風(著)
「もし、皆様、火薬のにおいが致しまする、このお部屋の中に烟硝えんしょうの臭いが致しまする」
大菩薩峠:20 禹門三級の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)