へい)” の例文
とにかく、兄茂左衛門も、弟の勝兵衛も、勝助家照が残るからにはと、一魂の死盟しめいへいとして掲げたる馬印の、金簾燦風きんれんさんぷうの下を、去る気色けしきもない。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
もふたも無いような言い方をしてすまし込んでいるものですが、そもそもこの日本の国は神国なり、日常の道理を越えたる不思議の真実、へいとして存す。
新釈諸国噺 (新字新仮名) / 太宰治(著)
木村項だけがへいとして俗人のひとみを焼くに至った変化につれて、木村項の周囲にある暗黒面は依然として、木村項の知られざる前と同じように人からその存在を忘れられるならば
学者と名誉 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
なんでも出来ると思う、精神一到せいしんいっとう何事なにごとか不成ならざらんというような事を、事実と思っている。意気天をく。怒髪どはつ天をつく。へいとして日月じつげつ云々うんぬんという如き、こういうことばを古人はさかんに用いた。
教育と文芸 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)