“灯籠”のいろいろな読み方と例文
旧字:燈籠
読み方割合
とうろう84.0%
どうろう16.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
幾艘もの灯籠とうろう舟のさざめき渡る夜の祭の楽しさは、暗夜行路ともいふべき人の世の運命を、漠然と感じる象徴の楽しさなのであらう。
琵琶湖 (新字旧仮名) / 横光利一(著)
びんにほつれるある女が夜間薬品店にあらわれると、灯籠とうろう道でもあるくように蒼ざめて、淀川の水面に赤いレッテルの商標を投じた。
大阪万華鏡 (新字新仮名) / 吉行エイスケ(著)
その伯父さんは章坊が学校から帰ったらもう来ていたというのである。自分は藤さんの身辺の事情が、いろいろに廻り灯籠どうろうの影のように想像の中を廻る。
千鳥 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
下女は何とも云わずに御辞儀おじぎをして立って行く。白足袋しろたびの裏だけが目立ってよごれて見える。道也先生の頭の上には丸く鉄を鋳抜いぬいた、かな灯籠どうろうがぶら下がっている。
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)