火水ひみづ)” の例文
併し老功と云はれる囚人で、これまで火水ひみづの間を潜つて来た奴がこの事件ではワシリの安全を請け合ふ事を躊躇して、頭を振つてゐる。
大恩を受けてゐる翁さん姨さんの事だから、頼むと言はれた日には、僕のからだ火水ひみづの中へでも飛込まなければならないのだ。翁さん姨さんの頼なら、無論僕は火水の中へでも飛込む精神だ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
もこがすなる勿体もつたいなけれど何事なにごとまれお腹立はらだちて足踏あしぶみふつになさらずはれもらにまゐるまじねがふもつらけれど火水ひみづほどなかわろくならばなか/\に心安こゝろやすかるべしよし今日けふよりはおにもかゝらじものもいはじおさはらばそれが本望ほんまうぞとてひざにつきつめし曲尺ものさしゆるめるとともとなりこゑ
闇桜 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)