火把たいまつ)” の例文
彼れ白痘はくとう満顔、広額尖頤せんい双眉そうび上に釣り、両頬下にぐ、鼻梁びりょう隆起、口角こうかく緊束きんそく、細目深瞳しんとう、ただ眼晴烱々けいけい火把たいまつの如きを見るのみ。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
そして、その影は、彼の馬車が停った時に、火把たいまつの光と入れ換った。それから彼の館の大扉が彼に向って開かれた。
それを置く窖(ずいぶん長いあいだあけずにあったので、その息づまるような空気のなかで、持っていた火把たいまつはなかばくすぶり、あたりを調べてみる機会はほとんどなかったが)
火把たいまつを握れば、火遂にその手に及ぶ、然り、思いの外殺急さっきゅうに及び来れり。伯夷はくい伝を読んで感激したる徳川光圀とくがわみつくにの如きは、劈頭へきとうの予言者にあらずや。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
火把たいまつを先に立てて、浅く段をつけた幅広の上り段を上って行ったが、その火把はあたりの暗闇くらやみを掻き乱し
その中には二三の鍛冶道具と、火把たいまつが一対と、引火奴箱ほくちばこが一つ入っていた。