瀟洒さつぱり)” の例文
そして此の陰氣いんきなじめ/\した室にも、何處となく、小意氣こいき瀟洒さつぱりした江戸的氣風が現はれてゐた。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
本願寺も在所の者の望みどほりに承諾した。で代々だい/″\清僧せいそうが住職に成つて、丁度禅寺ぜんでらなにかのやう瀟洒さつぱりした大寺たいじで、加之おまけに檀家の無いのが諷経ふぎんや葬式のわづらひが無くて気らくであつた。
蓬生 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)
都の紅葉館は知らぬが、此紅葉館は大沼に臨み、駒が岳に面し、名の如く無數の紅葉樹に圍まれて、瀟洒さつぱりとした紅葉館である。殊に夏の季節も過ぎて、今は宿もひつそりして居る。
熊の足跡 (旧字旧仮名) / 徳冨蘆花(著)
二人は醫院の裏二階の瀟洒さつぱりした室で、何日もの樣に吉野の噂をしてゐた。
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
廣くはないが瀟洒さつぱりとした心持ち好く日の當る所だ。うちの小供があまり騷いで樂々晝樂の出來ない時や、餘り退屈で腹加減のよくない折抔は、吾輩はいつでも此所へ出て浩然の氣を養ふのが例である。
吾輩ハ猫デアル (旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
二人は医院の裏二階の瀟洒さつぱりした室で、何日いつもの様に吉野の噂をしてゐた。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)