漢子おのこ)” の例文
あらず、あらず、ただ見るいつもいつも、物いわぬ、笑わざる、歌わざる漢子おのこの、農夫とも漁人とも見分けがたきが淋しげにあやつるのみ。
たき火 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
かわは長く流れて、向山むこうやまの松風静かにわたところ、天神橋の欄干にもたれて、うとうとと交睫まどろ漢子おのこあり。
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
何者かこれ、天地を枕衾ちんきんとして露下月前に快眠せる漢子おのこは、数歩のうちにありていびきを立てつ。
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)