漁火いざり)” の例文
時化しけつづき西風強く、夜は絶えて漁火いざりすら見ね、をりをりに雨さへ走り、稲妻のさをうつりに、鍵形かぎがたの火の枝のはりひりひりとき光なす。其ただちとどろく巻波まきなみ
時化しけつづき西風強く、夜は絶えて漁火いざりすら見ね、をりをりに雨さへ走り、稲妻のさをうつりに、鍵形の火の枝のはりひりひりと鋭き光なす。そのただちとどろく巻波。
観相の秋 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
しも見れば早や塔の沢、こちごちに湯のけぶりて、ちらちらと揺るるの見ゆ。海見えて漁火いざりつく見ゆ。この岨や馴れし山岨、遠く来し旅にもあらね、さは急ぐ道にもあらず。
しも見れば早や塔の沢、こちごちに湯の香煙りて、ちらちらと揺るる燈の見ゆ、海見えて漁火いざりつく見ゆ。この岨や馴れし山岨、遠く来し旅にもあらね、さは急ぐ道にもあらず。
観相の秋 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)