滑稽本こっけいぼん)” の例文
それでも女二人は滑稽本こっけいぼんの場合のように口をき合わなかった。ひとしく注意の視線を巻紙の上に向けているだけであった。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
現に源内自らも後年になってたくさんの滑稽本こっけいぼん洒落本しゃれぼんを著しているのですが、それでいて他面にはいろいろな学問の道にも進もうとしたのですから
平賀源内 (新字新仮名) / 石原純(著)
式亭三馬しきていさんばが何年か前に出版した滑稽本こっけいぼんの中で、「神祇しんぎ釈教しゃっきょうこい無常むじょう、みないりごみの浮世風呂うきよぶろ
戯作三昧 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
それはすぐ隣りに住んでいるアンドレイ・セミョーヌイチのところで——レベジャートニコフのところで借りてきたんですの、いつもそんな滑稽本こっけいぼんを借りてきていましたわ。
本草ほんぞうに関するものがたくさんにある外に、農作物、物産に関するものもあり、火浣布かかんぷ、陶器、寒熱昇降器などの説明もあり、また他面には多くの滑稽本こっけいぼん洒落本しゃれぼん、及び浄瑠璃の作品があるので
平賀源内 (新字新仮名) / 石原純(著)
滅多めったな事の云えないお延は、わきに抱えて来た風呂敷包を開けて、岡本の貸してくれた英語の滑稽本こっけいぼんを出して津田に渡した。その指の先には、お秀が始終しじゅう腹の中で問題にしている例の指輪が光っていた。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)