満身まんしん)” の例文
旧字:滿身
と、よけいにきつけると、うるさいとでも感じたか、金瞳黒羽きんどうこくう大鷲おおわしあらしに吹かれたようにムラムラと満身まんしん逆羽さかばねをたててきた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「しまった。もう、いけない」帆村は、もうこれまでと思い、棒を握ったまま、満身まんしんの力をいれて、ぐっと手もとへひっぱった。
人造人間エフ氏 (新字新仮名) / 海野十三(著)
すそえつきそうな紅蓮ぐれんをうしろにして、しつ引きつ、満身まんしんの力をしぼったが、はいぜんとして鉄壁てっぺきのようだ。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
満身まんしん太刀傷たちきずにさいなまれたふたりの従僧、斬ッつ、いつ、小半町こはんちょうほど鎖駕籠を追いかけたが、刀おれ力もつきて、とうとう馬場ばばのはずれの若草の上で、たがいにのどと喉とをしちがえたまま
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)