渋味しぶみ)” の例文
旧字:澁味
と与力の鈴源だけあって、声にもっともらしい渋味しぶみがこもり、おどしが板についていて、町人づらをふるえあがらすには充分である。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
生に対する深き執着と、あきらめとを持たせられた美女たちは、前代の女性ほど華やかに、湿やかな趣きはかけても、さび渋味しぶみが添うたといえもする。
明治美人伝 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
うぐいすに似て少し渋味しぶみの勝ったつばさに、胸はくすんだ、煉瓦れんがの色に似て、吹けば飛びそうに、ふわついている。そのあたりにはやわらかな波を時々打たして、じっとおとなしくしている。
永日小品 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
老人は甘味あまみ渋味しぶみもない声で
西林図 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)