添水そうず)” の例文
部屋へかえって、仰向けに倒れた耳に、添水そうずがカーンと聞こえました。杵の長い顔が笑うようです。渓流の上に月があって。——
菊あわせ (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
崖づくりを急流で落ちます、大巌おおいわの向うの置石おきいしに、竹のといあやつって、添水そうず——僧都そうずを一つ掛けました。
菊あわせ (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
別して、例の縁側散歩はめられません。……一日おいて、また薄暮合うすくれあい、おなじ東の縁の真中の柱に、屋根の落葉と鼻を突合つきあわせてしゃがんで、カーン、あの添水そうずを聞き澄んでいたのです。
菊あわせ (新字新仮名) / 泉鏡花(著)