浴後ゆあがり)” の例文
しば浴後ゆあがりを涼みゐる貫一の側に、お静は習々そよそよ団扇うちはの風を送りゐたりしが、縁柱えんばしらもたれて、物をも言はずつかれたる彼の気色を左瞻右視とみかうみ
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
きみの前だが、その時タオルも棄てたから一糸も掛けない、浴後ゆあがりの立姿だ。……私はうしろ向きさ。
浴後ゆあがりの顔色冴々さえざえしく、どこに貧乏の苦があるかという容態ありさまにて男は帰り来る。
貧乏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)