流竄るざん)” の例文
近世ではそんな特権は無視され、擾乱じょうらんのあとでは公卿も斬られ天皇さえ流竄るざんの例を往々おうおうにしてみてきたが、よもや死を以て迎えるようなことはあるまい。
すなわち百露ペルー古王のせんもまたママ陽より来るというがごときこれなり。これ必ずわが上世の皇子流竄るざんせらるる者、彼地かのちに漂着して、ついにここに王たりしなるべし。
教門論疑問 (新字新仮名) / 柏原孝章(著)
かかる屑の屑なる国への追放と流竄るざんのほかの何物にも値せざりしを知るとき、なんの憧れとなんの望みとをもちて、臣はながろうべき? ノオノオ! この謀叛人ら驕り勝たんか
流竄るざん中のカイゼル」の著者ベンチンク夫人が、一九一四年二月エルサレムへ旅行して、船がポートセードに着くと突然甲板へ印度人の予言者が乗り込んでつかつかと夫人の前へ寄って来て
怪談綺談 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
やうも無き流竄るざんの日に白鳥はたゞ侮蔑のきぬまとふ。
白鳥 (旧字旧仮名) / ステファヌ・マラルメ(著)
後醍醐のちょうに、ひとつであった公卿すべてが、流竄るざん、断罪に処せられぬはない中で、どうしてか彼だけは、新しい光厳帝にまみえ、花園院にも出入りして、しゃア洒アと
私本太平記:06 八荒帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)