洋琴オルガン)” の例文
亡母おつかさん其儘そのまゝらつしやるんですもの——此の洋琴オルガンはゼームスさんが亡母さんの為めに寄附なされたのですから、貴嬢が之をお弾きなされば
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
内の小児こどもおいだの、めいだのが一所になった処へ、また小児同志の客があり、草深の一家いっけも来、ヴァイオリンが聞える、洋琴オルガンが鳴る、唱歌を唄う——この人数にんずへ、もう一組。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
山木さんも昔日むかしから彼様あんなでは無かつたので御座いますよ、全く今の奥様が悪いのです、——わたし毎度いつも日曜日に、あの洋琴オルガンの前へ御座りなさる梅子さんを見ますと
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
唄っちゃ(ああ、こんなじゃ洋琴オルガンも役に立たない、)ッてさみしい笑顔をなさるとすぐ、呼吸いきが苦しくなッて、顔へ血がのぼッて来るのだから、そんなことなすッちゃいけませんてッて
誓之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
洋琴オルガンは全く哀調を奏でて居たぢやないか、——厳粛にすわつて謹聴してる篠田先生の方を、チヨイチヨイとて居なすツたがネ、其胸中には何等の感想が往来してたであらうか
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)