波騒なみさい)” の例文
旧字:波騷
遠い塀のそとからは師直の軍勢が波騒なみさいの中に似るここへ、最後の返答をうながすようなどよめきを朝と共に性急にしていた。
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
四明しめいだけのうしろに、夕雲の燦爛さんらんをとどめて、陽は落ちかけていた。——湖上にも虹のような光芒こうぼうが大きく走って、水面は波騒なみさいを起こしていた。
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
船へは、宗易の弟千宗巴せんのそうは銭屋宗納ぜにやそうのうが、使いとして乗った。奈良の浪人、土門つちかど源八郎も、附き添って行った。暗い波騒なみさい真夜半まよなか、船は、三好党の見張りの眼をしのんで、沖へまぎれ去った。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
湖の波騒なみさいか、四明颪しめいおろしか。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)